地中海食に不可欠のスパイスとハーブ
スパイスを求めて世界を旅した大航海時代

西洋人が東洋の熱帯地方で産出する香辛料を金銀と同じくらいの
貴重品として欲した歴史は、昔々教科書で読んだ気がする。
植物が害虫や細菌から身を守るために身に着けた殺菌力や
忌避効果のある強い香り。
当時食料の保存技術に乏しかった西洋人が
その防腐効果に夢中になり、香辛料を求めて
大航海をしたのだと思うと、たかが香辛料と
いう話ですまされない壮大なストーリーを
想像してしまう。
料理だけでなく、香料、染料、医薬品として消費され、
香辛料がステータスのシンボルとして富裕層が自分の力を誇示するために
使われる中、地中海のベネチア共和国、その後オスマン帝国が
香辛料貿易の利益を独占して栄華を極めるようになったという。
つまり、地中海が西洋におけるスパイスの歴史のメイン舞台だったのだ。
もともと道端の野草だったハーブ
ハーブはもともと民間薬として野草を採取して
病気をいやしたのが始まり。
古代ギリシャの「医学の祖ヒポクラテス」が残した
著書には400種類ものハーブを使った処方が
残されているそうだ。
「汝の食を薬とせよ」
私は彼のこの言葉を肝に銘じている。
ハーブも地中海沿岸で発達してきた文化だった。
当時は薬というより自然治癒の手助けをする
食べ物として利用されていた。
長い歴史を経て今ではメディカルな効果だけでなく、
心身のリラックスや料理に欠かせない風味付けと
して世界中で様々なハーブが利用される。
日本の食生活でもたくさん使われる薬味は立派なスパイスとハーブ。
山椒、生姜、みょうが、小ねぎ、三つ葉など。
野山を歩けばいくつかの野生種も見かける。
スパイスとハーブを使いこなせば食事で病気を遠ざける事ができる

使い方のコツ
スパイスとハーブ、使い方のコツは、素材の持つ臭みを消しつつ、
食欲の湧く香りをプラスすることで、
プロの料理に近づく。
つまり、スパイスとハーブの複数使いをすること。
煮込み始めから胡椒や丁子を加えて獣臭を消し、
ロリエで料理に高級感のある香りをつける。
仕上げにたっぷりのパセリを加えて色のコントラストで
食欲を湧かせつつ、香りでも魅了するという感じ。
日本は幸い新鮮な食材が手に入る食文化だったので、
その面では西洋文化ほどスパイスとハーブを
使いこなす文化が育たなかったのかもしれない。
料理の仕上げのハーブは、日本人感覚の「浮き身」とか
「散らす」の量ではなく粗く刻んだハーブをどっさり入れるのが本場流。
スパイスとハーブは2000年以上の歴史を誇り、東洋医学で用いる
漢方薬と重なる素材も多く、毎日の食事に取り入れることで
体調をよくする可能性がある。漢方薬と同じで即効性があるというより
じわじわ体調を整えてくれる。
スパイスによってはかなり即効性があるものもある。
例えば私の場合、朝のコーヒーにシナモンを振ると、
起きたては鼻が詰まっているなという時もシナモンのおかげで
急にすっきりする。
体が冷えているときに、フェンネルの種を料理に加えると体が
ぽかぽか暖かくなってきたりする。
中医学では病気の手前で不調を見極め食事で養生させる医者を
上医、病気になってから薬で治す医者を下医と呼んでいたそうだ。
「薬食同源」という考え方は、ヒポクラテスの言葉と全く同じ。

スパイスとハーブの香りはメンタルにも効果がある
嗅覚を日常の暮らしに常に活用している
現代人は少ないかもしれない。
無意識の中でも脳は不快な香り快適な香り、
懐かしい香りを察知して自分のパフォーマンスが
変わることは見逃せない事実。
空腹で街中を歩いていると、無意識にいろいろな食べ物を
妄想していることはないだろうか?
それは通りすがりの飲食店のダクトから流れ出る
美味しい匂いの仕業。
むしろ、わざと通りにダクトを向けて
臭いを放出しているところもある。
アロマテラピーは伝統医学として昔から行われてきた施術法で、
リラックス効果、ストレス解消に最適な自然療法だ。
ヒノキの香りは認知機能のアップに効果があるとか、
ローズマリーもテスト前の受験生にお勧めらしい。
美味しい香りもメンタルにとてもよい影響がある。
いい香りがしてきたら、脳はすでに美味しい食べ物を
想像している。実際に食べるときにはもう
食べたい気持ちがとても盛り上がっている。
料理上手になりたければ香りで誘う術も身に着けると良い。
スパイス&ハーブ使いで料理が一瞬にして4Dに昇華するから。

美味しいものを食べるときには誰もが幸せ!
老化は病気?!
長寿医療の先進国アメリカでは、
「老化は病気」という考え方が一部で起きている。
医療技術で若さをキープするのもよいけれど、
私的には、自然と共存しながら長寿を謳歌する
地中海スタイルが理想的ではある。
例えば、イタリアの人生観にある
「マンジャーレ、カンターレ、アモーレ」
「食べて、歌って、愛すること」
これを人生の楽しみとして謳歌するのは、
ストイックに暮らすよりナチュラルだ。
最強のエイジング対策は、地中海沿岸の人々のように
明るく楽しく、ストレスをためない
暮らしなのかもしれない。

